▼『移動者マーケティング』
著者:加藤肇/中里栄悠/松本 阿礼
出版社:日系BPコンサルティング
▼Point
「移動者マーケティング」とは、高密度にヒト・モノ・カネ・情報が集積した駅や電車内などの移動空間に着目し、そこでの戦略的な働きかけによって、移動中の生活者の行動を効率的・効果的に引き出そうとするマーケティング活動を意味する。
著者がジェイアール東日本企画ということなので、まぁそれを売るための本であることを最初に覚えておいた方がいい。当然、移動者は魅力的ですという文章が多いので。
役割の切り替わりの際には、移動行動を伴うことがほとんどである。
この本の中では、通勤や通学が・・・と書いてあるが、確かに役割を切り替える際には、何かの行動を伴うことが非常に多い。仕事をするぞ!という気持ちになるために缶コーヒーを買ったりと。この部分を意識してあげることは社会的役割が多い現代において非常に重要かもしれない。
アスリートでいう一種のゲンカツギ、のような気がする。
67.3%が非計画来店
驚くべきことに計画的に来店している人は少ない。移動中とかお店をみて「ハッ」となって来店することが多いという。確かに自分でもそうかもしれない。そう考えると、いかに衝動的購買意欲を狙うか、ということが重要になってきそう。
43.8%が「どちらでもいい来店」
また、「ハッ」とする内容も、トイレットペーパーがないから今日買わないと!!というような必要的な来店ではなく、今日じゃなくてもいいという来店が多い。前に書いた役割切り替えの部分でも一度カフェによって・・・とかCDショップによって・・・という行動はこの辺りから生まれているのかもしれない。
▼感想
移動者、という切り口ではあったが、実店舗での販売を設計していくためには非常に面白い情報が山盛りの内容だった。
JR東日本企画がやっている駅消費研究センターの中にも非常に面白い情報がたくさん入っていた。やはりJRが関連するところのデータが中心にはなっているが、このデータを他の購買シーンや旅行などでも転用することが出来そうだ。
OOHやDOOHを語るときには顧客の心理や実態を知る上で読んでおいて損がない一冊だと思った。
▼目次
- 買い物の前後には移動がある
- 「駅消費」と移動者マーケティング
- 移動者マーケティングとは
- 移動者マーケティング・プランニングの実践
- 特別対談-宇佐美清氏と考える移動者マーケティング
- 広がる可能性-移動者マーケティングの近未来