▼『買いたがる脳』
著者:デイビッド・ルイス
訳者:武田玲子
出版社:日本実業出版社
▼Point
消費者や消費者付保護グループが器具する映画「マイノリティ・リポート」の世界が現実になり、人が無意識のうちに次々と広告を受け取るような技術も開発されている。
私たち消費者の想像もつかないレベルでマーケティングが進化している。心理学的アプローチではなく脳科学として。確固たる人間としての反応として。それを実現するための各種ビッグデータ。非常にわくわくもしつつ恐ろしい時代なのかもしれない
ニューロマーケティングの役割は、どの要素の訴求力が最も大きく、どの要素を強調すべきかの分析である(中略)ある事例では、入浴時に使うアヒルのおもちゃの帽子の色を紫色から青色に変更すべきだと分かり、(中略)売り上げは30%以上増加した。
当然人なので色の好みはある。しかし、脳波を分析した結果、理想的な要素がわかり、色を変化するだけで売り上げが30%も上がる世界。個人の好み、という一言では片付けらないほどにマーケティングが進化。商品開発もそれに伴ってスピーディに動ける必要がある。
マクドナルドのコピー「I'm lovin'it」が優れているわけ。それは「You're」ではなく、「I'm」と言われた消費者は自己暗示にかかり、自分自身にマクドナルドを「愛せよ」という指令を発するようになる。
たった一言。その一言に驚くべき意味が隠されている。コピーがまさか暗示の言葉だなんて信じられない。某コンビニの「あなたとコンビに」というコピーももしかしたら「わたしとコンビに」にしたほうがいいのかもしれない。
この画像の中には(花の部分)には、あるメッセージが隠されている。「S」と「E」と「X」が画されている。とある実験では性的な隠れたメッセージを入れることで入れないときよりもユーザーの覚醒度が20%上昇した
この本には本当に驚かされてびびらされる。全く持って意識せずみている画像の中に性的描写が隠れているだなんて。しかもその描写があることで覚醒度が変わるということも驚き。ありとあらゆることが計算され、しかも顧客の判断に効いている。
▼感想
この本は非常に面白く、日ごろのマス広告から店頭での購買行動まで私たちの行動を丸裸にしてくる。
今まで、「なんとなくわかっていたこと」を科学的なデータと事例を元に「わかった!」にしてくれるからなお素晴らしい。
マーケティングの未来を感じさせてくれるが、同時に恐ろしさも感じるような本だった。評価としては9/10というところかなぁ。
色々と事例が出てきて使えそうな話題ばかりだったので、再度読み直したりもしたいと思う。
▼目次
- ショッピングを「科学」する
- ショッピング現場に潜む「かくれた説得者」
- 「あなたの考えはお見通しです」
- ショッピングはあなたの「気分」だけでは完結しない
- 「買い物する脳」の中身
- 売り場が醸し出す「雰囲気」の説得パワー
- ブランド愛―お客の感情を操作する
- サブリミナルのプライミング効果
- テレビがあなたを観ている
- モバイルメディアのマーケティング力
- 究極の「買いたがる脳」
- 売り手の思惑、買い手の責任